「伊作田保育園の特色は何ですか?」と聞かれると、まず「自然豊かな環境」とお答えしてきました。伊作田保育園は未満児さんでも散歩で移動できる範囲に、海浜公園、江口浜、江口川、果樹の実る里山、竹林、田園、また園舎の北側には子どもたちと野菜を作る畑もあり、日常その自然環境に触れながら育っています。
自然とは「人の手が加わらないあるがまま」と辞書にはありますが、そんな風に自然と向き合うのではなく、「自分もその自然の中で生きているんだ」という実感を伴う環境こそが「自然保育」であると考えております。この幼児期の経験が、生涯にわたってしなやかに生きていく力の基礎となるように願っています。
自然の中で遊ぶことは、現行の保育指針の中でも非常に重要とされている「非認知能力」の育成に有効であるという多くの研究があります。確かに、自然の中に出かけて活動すると、子どもたちは思いもかけない遊びを発見、展開したり、友達と協力しはじめたりと、自然の提示する様々な要素を受け取り、それに応えていきます。そして何より、澄んだ空気を胸いっぱい吸い込み、自然に溶け込み、リラックスして遊ぶことで、明るく穏やかな表情をしていることが分かります。まさに「マインドフルネス」※の状態といえるのではないかと思います。これは保育者にとっても同じです。自然の中での活動中は保育者も一段といい表情をしているように感じます。子どもを見守る保育者として、とてもいい心の状態だと思います。
これだけ身近で自由に活用でき、かつ多様で穏やかな自然を有しているありがたい環境を今まで以上に生かし、質の高い保育をご提供できるように、実践を重ねつつ、その効果を検証し、「伊作田保育園の自然保育」をさらにしっかりと確立させていきたいと取り組んでいます。
※マインドフルネス…「今という瞬間や体験に注意を向けて、それをありのままに受け入れること」とされて、過去や将来などの不安などから離れて、今、感じていることに集中している状態のこと。
